2018年2月15日木曜日

スマホアプリを使用して糖尿病重症化予防を目指す。

2型糖尿病に対する遠隔医療研究の紹介です。
治療の脱落をスマホアプリで予防する試みです。

2型糖尿病の初期はとくに表にでる症状が緩やかであるため、治療の継続を疎かにしてしまう患者さんがいます。

病気進行の予防が期待できるでしょう。

さらに通院を継続的に行うことも患者サイド、医療サイドともにコスト増になることがあるでしょうから、その点についても少し緩和することが期待できそうです。

導入当初の患者教育については今後一層、重要になっていくでしょう。

将来的には、このような予防的な実践をしていない患者であれば、民間の医療保険では何かコストを余分に払わなければならないようになるかもしれません。(公的なものにまで広がっていく?)

ーIoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究ー
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327441/012200294/?ST=health&n_cid=nbptec_tectw

2018年2月14日水曜日

「頭部移植を行った」、、、その後の理学療法など

中国で、イタリア医師が「頭部移植を行った」とのニュースが以前にありました。

その後、手術は成功(?)したが、非常に残念なことに患者さんは他界されたと聞きました(実際にはご遺体の頭部と、他のご遺体の身体の移植手術だったとの報道もあります)。

現在の医療では自分の脊髄であっても一度大きな損傷を負うと完全には戻りません。ましてや離断となるとその髄節以下の神経領域は完全麻痺になる状態は変わりません。

頭部移植手術でもし、その後生存できたとしても運動能力は回復しなかったでしょう(この医師は接続部に使用する新素材が期待できるとしています)。

しかし、再生医療、ブレインマシンインターフェイスなどのディバイスが高度に発展した未来では選択肢になるのでしょうか?

リハビリテーション医療、理学療法士、作業療法士なども活躍の場がありそうです。

そうはいってもやはり、技術的にも、倫理的にも他人の身体を完全に移植するのは難しいでしょう。

自分の完全クローンを作って、、、現在の倫理観からみると怖い話です。

:世界初・人間の「頭部移植手術」成功、その後…!頭部切断後に躰は動くのか? http://tocana.jp/2018/02/post_15929_entry.html @DailyTocanaから

2018年2月13日火曜日

AIやロボット等の新しい技術は人間の能力を拡張する。

招待メールが来て購入したAmazon echoを約2カ月使用しました。

気軽に音楽を聴くことがとても増えました。ニュース、天気予報、タイマー、グーグルスケジュールの確認辺りを使っています。我が家にある家電で現時点でAmazon echoを通しての音声操作に対応しているのはルンバだけです。

音声で家電等を動かすという技術は簡単で、間違いなく多くの商品に搭載されていきそうです。たくさんのコントローラーを管理しなくてもよくなるでしょう。

料理等で手が塞がっている時などは特に大活躍します。恐らく車の運転中なんかにもAlexaなどの音声操作の新しい技術は親和性が高いでしょう。

音声操作を通して、新しいテクノロジーは人間能力を拡張するということの1ケースを感じています。

AIやロボットは、健康な人だけでなく、とくに身体に障害を持った人にとって今以上に飛躍的に役に立つ時代が来そうです。


I got an invitation email from Amazon, and I used Amazon echo I bought for about 2 months.

I feel like listening to music very much. I am using the functions around checking news, weather forecast, timer, Google schedule. At home appliances in our home, at the moment only Roomba is compatible with voice operations via Amazon echo.

I think that the technology of moving household appliances etc. Voice operations is easy and it is likely to be installed in many products. We will not have to manage a lot of controllers.

Amazon echo is particularly useful when cooking etc. When my hands are blocked. Even while driving a car, new technologies such as Alexa will be useful to us.

Through this voice manipulation, I feel that one case of extending new technology to human capabilities.

AI and robots are likely to be useful not only for healthy people, but also for people with physical disabilities in particular, more than ever.

2018年2月12日月曜日

脳梗塞の重症度ーとくに心原性脳梗塞について

脳梗塞の重症度

脳梗塞はラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3つに大きく分けられる。

ラクナ梗塞は時代とともに改善している。

アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳梗塞の予後は不良でありとくに心原性脳梗塞は極めて不良。

心原性脳梗塞は血栓溶解療法の適応にならないことが多い。

心原性脳梗塞の75%で心房細動の合併がある。

心房細動例で心原性脳梗塞のリスクがある患者には発症予防のための方策が重要。


参照文献
奥村 JPN.J.ELECTROCARDIOLOGY Vol.31 No.3 2011

2018年2月11日日曜日

冬は脳卒中のリスクが高いのか?

冬はCVAの発生が増えるのか?
今年の冬はとても気温が低いです。


脳卒中の発生は、冬に起きやすいとも言いますが、実際にはどのような結果でしょうか。
すこし古いデータですが、豊田氏の論文(脳卒中33:226~235,2011)を読みました。


症例数約46000人を分析した結果では、

○脳出血の発症は冬に多い。
○クモ膜下出血は夏少なく秋から冬に多い。
○脳梗塞は全体としては季節性なし。
○ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞では7月に多く、1月に再度多いという2つのピークがある。
○心原性脳塞栓では冬に多い。


上記のように病型によって少し異なる結果のようでした。
いづれにしろ脳卒中が起こるのは気温が大きい影響があるということですので、温度管理や水分補給などを心がけることがリスクを下げることに繋がるのでしょう。

2018年2月10日土曜日

気温が低いと脳卒中後遺症の痙性による筋緊張は高まる

例年以上に寒い冬です。身体が冷えると脳卒中後遺症の痙性による筋緊張は高まるという研究の紹介です。このことは経験的にも納得する結果です。非麻痺側手を温めることで麻痺側肘伸張がしやすくなったとの結果も出ていて興味深いです。

タイトル:
痙性による筋緊張が高い脳卒中患者の反射および非反射成分に対する冷刺激の異なる反応

目的:
寒さと熱刺激に対して、麻痺のある肘屈筋からの反射および非反射応答を定量化する。

方法:
13例の脳卒中患者の痙縮のある肘関節を、2つの速度(5°/ sおよび100°/ s)で50°伸長。熱刺激(熱痛閾値でHEAT、0℃でCOLD、または室温でBASELINE)を少なくとも30秒間伸張する直前に反対側の手に適用。

結果:
総トルクは100°/ sで5°/ sでよりも大きかった。総トルクは、BASELINEと比較して、COLD後に有意に増加、HEATでは有意に増加しなかった。BASELINEでトータルトルクに正規化した場合、HEATは合計トルクを6.3%減少させ、COLDは合計トルクを11.0%増加。 3つの熱的条件の間で反射トルクに有意差はなかった。

結論:
今回の結果は寒冷刺激が痙縮の全抵抗に及ぼす効果を示す。寒冷による筋緊張の増加の客観的証拠を提供している。

Front Neurol. 2017 Apr 28;8:169.
Different Effects of Cold Stimulation on Reflex and Non-Reflex Components of Poststroke Spastic Hypertonia.
Li S、Shin H、Zhou P、Li X。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28503163

2018年2月9日金曜日

麻痺側上肢に、非麻痺側第7頸神経をつなぐ手術について

慢性の脳卒中患者の麻痺側上肢に対する外科的手術の研究ですが、内容に驚きました。

この発想も凄いと思いますが、実際に臨床試験まで漕ぎ着ける行動力が驚きです。

結果は良好とのことですが、日本でも行われるようになる手術でしょうかね?

中国での研究とのことですが、このような研究を数十人の対象者に行ない、対照群と比較してトップジャーナルまでに掲載できるのはなかなか日本では辿り着けそうにない気がします。

いづれにしろ、もし本当に副作用が軽微で、効果が顕著であれば、患者さんの選択肢の一つになることはあっても良いかもしれません。

日経メディカルの記事です。
~
片麻痺患者の両方のC7を切断し、麻痺側に向かうC7神経につなぐ治療の有効性と安全性を評価する臨床試験。
手術介入群はリハビリテーションのみの対照群よりも12カ月後の麻痺が軽減していた。C7を切断された側の上肢には痺れなどの出現があったが、その後、軽減したとのこと。
~
麻痺側上肢に、非麻痺側第7頸神経をつなぐ手術の有効性を検討
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201801/554451.html

2018年2月8日木曜日

上腹部手術前に呼吸理学療法を実施することは肺合併症の発生を半減させる

多施設共同プラセボ対照無作為化試験にて検証し、エビデンスレベルの高い研究。

日本でも、この論文を紹介することで、術前の呼吸理学療法教育の必要性を理学療法士自身にも、他医療スタッフにも理解できそうです。

しっかりとした呼吸理学療法の方法を行うことのできるようにし、上腹部手術患者の術前に広く行う体制が確立できるように期待します。

このことで患者の円滑な回復、死亡率の低下、医療費の抑制が期待できます。

~
術前の呼吸理学療法教育で肺合併症が半減/BMJ
http://www.carenet.com/news/journal/carenet/45466

交通量の多い道路でのウォーキングは呼吸機能に悪影響を与える

COPD患者と虚血性心疾患を持つ方は大気汚染レベルが高い道路を2時間ウォーキングすると呼吸機能に悪影響を与えるとのLancet誌の論文。

理学療法士が、患者等に自主トレーニングを指導する際は、多くウォーキングを含むと思います。

ウォーキングの時間。速度。歩容などの指導はすることはあっても、大気汚染レベルまで配慮することはできていないこともあるかと思います。

とくに呼吸器疾患、虚血性心疾患を有する患者には、どのルートをどのようにウォーキングするか、交通量を含む空気の清浄さなども検討することが必要ですね。

~
Lancet誌から車の多い道でのウォーキングは避けるべきCOPD患者は悪影響が特に大きい

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/lancet/201712/554182.html

2018年2月7日水曜日

ワクチン接種の選択

気になったニュース

ワクチン接種を危険視する方々が、メディアに、ネットにと溢れていると感じます。

ワクチン接種の副作用はたしかにあります。
然し、疫学的に個人に対しても間違いなくメリットがあるでしょう。

記事のような集団免疫が失われ、乳幼児や高齢者にもデメリットが現れ始めている可能性が有ります。

そういえば、私が小学生のころはインフルエンザの予防接種も学校で集団で行われていました。

いつの間にか、ワクチン接種の副作用がその根拠も曖昧なまま声高に叫ばれて、インフルエンザワクチンの集団接種も無くなってしまったのでしょう。

たしかに、選択の自由も大切なのですが、自己選択権のない子供にも影響があることですから、冷静な議論が必要だと思います。

ワクチン接種選択の自由めぐる攻防 集団免疫失われる危険も 米
http://www.afpbb.com/articles/-/3160910

2018年2月6日火曜日

リハビリテーションロボットの話題~HALについてFDAより医療機器としての市販承認

少し前のニュースですが、サイバーダインの「HAL医療用下肢タイプ」が医療機器として米国で認可されたとのこと。

HALは外骨格型リハビリテーションロボットとしてもっとも有名だと思います。

まだまだリハビリテーションロボットは発展途上。商売としてもこれからみたいですが、ようやくサイバーダインは黒字化できそうとのこと。株価は好調なようですが、将来性の見込みだけでこれまでは来ていたのですね。

更にデバイスとしての使いやすさの向上。価格も使いやすさが出ることを期待しています。

いま、トヨタやホンダ、安川電機、パナソニックなどの大企業から中小企業まで様々な企業によるリハビリテーションロボットの開発の話題を聞きます。

患者さんの利益になり、医療現場でも使いやすくなり、さらに開発業者としても利益が出て長く続く事業になることを期待します。

好調な企業業績から内部留保を吐き出すためにとりあえず新規事業を立ち上げてみたけど、儲からないからやめようと将来的にならないようにお願いしたいです(使用する理学療法士なども新しい良いものは積極的に使う行動も必要になるでしょう)。

~
米国食品医薬品局(FDA)より「HAL医療用下肢タイプ」について医療機器としての市販承認を取得したと発表している。
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201712190213

2018年2月5日月曜日

五木 寛之さんによるヘルスリテラシーのお話

ヘルスリテラシーという言葉があります。

それは、TVやネットの中にある溢れる医療、健康情報を如何に収集し、またその情報の正確性の判断をし(科学的根拠に基づいているか)、それを利用するという、技術と知識のことと理解しています。

一般の方だけでなく、医療人の一部でも根拠のない理論でそれらしく説明された情報、偉いとされる人の言葉に流されるということはしばしばあります。

医療に携わる人のエビデンスベースドメディスンの成書を読むなどして知識を得て、それらの知識を利用して論文を読み、批評し、臨床や研究に利用していことで少しずつ身についていくことなのでしょう。

医療人ではないのですが、下記のリンクの五木 寛之さんのヘルスリテラシーについて書いた記事が興味深いものでした。
http://blogos.com/article/274098/

2018年2月4日日曜日

冬は血圧の変化に注意

気になったニュースです。

内容は、厳冬で寒暖の差が大きいときは血圧の変動が大きくなり、脳卒中や心筋梗塞の発症が大きくなるので気をつけましょうとのもっともな内容です。

面白いと思ったのが、データが何故かユニクロが調べた30歳台ということ。

どのような条件での調査か分からないのですが、30歳台で血圧17の変化とは思ったより大きいという印象でした。

ただしユニクロが調べているので、これは利益相反がある事案だと思いました。

日常動作が引き金 急激な温度変化で血圧上昇
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018013002000002.html