URL
http://n.neurology.org/content/91/16/e1461
中国で、イタリア医師が「頭部移植を行った」とのニュースが以前にありました。
その後、手術は成功(?)したが、非常に残念なことに患者さんは他界されたと聞きました(実際にはご遺体の頭部と、他のご遺体の身体の移植手術だったとの報道もあります)。
現在の医療では自分の脊髄であっても一度大きな損傷を負うと完全には戻りません。ましてや離断となるとその髄節以下の神経領域は完全麻痺になる状態は変わりません。
頭部移植手術でもし、その後生存できたとしても運動能力は回復しなかったでしょう(この医師は接続部に使用する新素材が期待できるとしています)。
しかし、再生医療、ブレインマシンインターフェイスなどのディバイスが高度に発展した未来では選択肢になるのでしょうか?
リハビリテーション医療、理学療法士、作業療法士なども活躍の場がありそうです。
そうはいってもやはり、技術的にも、倫理的にも他人の身体を完全に移植するのは難しいでしょう。
自分の完全クローンを作って、、、現在の倫理観からみると怖い話です。
:世界初・人間の「頭部移植手術」成功、その後…!頭部切断後に躰は動くのか? http://tocana.jp/2018/02/post_15929_entry.html @DailyTocanaから
例年以上に寒い冬です。身体が冷えると脳卒中後遺症の痙性による筋緊張は高まるという研究の紹介です。このことは経験的にも納得する結果です。非麻痺側手を温めることで麻痺側肘伸張がしやすくなったとの結果も出ていて興味深いです。
タイトル:
痙性による筋緊張が高い脳卒中患者の反射および非反射成分に対する冷刺激の異なる反応
目的:
寒さと熱刺激に対して、麻痺のある肘屈筋からの反射および非反射応答を定量化する。
方法:
13例の脳卒中患者の痙縮のある肘関節を、2つの速度(5°/ sおよび100°/ s)で50°伸長。熱刺激(熱痛閾値でHEAT、0℃でCOLD、または室温でBASELINE)を少なくとも30秒間伸張する直前に反対側の手に適用。
結果:
総トルクは100°/ sで5°/ sでよりも大きかった。総トルクは、BASELINEと比較して、COLD後に有意に増加、HEATでは有意に増加しなかった。BASELINEでトータルトルクに正規化した場合、HEATは合計トルクを6.3%減少させ、COLDは合計トルクを11.0%増加。 3つの熱的条件の間で反射トルクに有意差はなかった。
結論:
今回の結果は寒冷刺激が痙縮の全抵抗に及ぼす効果を示す。寒冷による筋緊張の増加の客観的証拠を提供している。
Front Neurol. 2017 Apr 28;8:169.
Different Effects of Cold Stimulation on Reflex and Non-Reflex Components of Poststroke Spastic Hypertonia.
Li S、Shin H、Zhou P、Li X。
COPD患者と虚血性心疾患を持つ方は大気汚染レベルが高い道路を2時間ウォーキングすると呼吸機能に悪影響を与えるとのLancet誌の論文。
理学療法士が、患者等に自主トレーニングを指導する際は、多くウォーキングを含むと思います。
ウォーキングの時間。速度。歩容などの指導はすることはあっても、大気汚染レベルまで配慮することはできていないこともあるかと思います。
とくに呼吸器疾患、虚血性心疾患を有する患者には、どのルートをどのようにウォーキングするか、交通量を含む空気の清浄さなども検討することが必要ですね。
~
Lancet誌から車の多い道でのウォーキングは避けるべきCOPD患者は悪影響が特に大きい
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/lancet/201712/554182.html
気になったニュース
ワクチン接種を危険視する方々が、メディアに、ネットにと溢れていると感じます。
ワクチン接種の副作用はたしかにあります。
然し、疫学的に個人に対しても間違いなくメリットがあるでしょう。
記事のような集団免疫が失われ、乳幼児や高齢者にもデメリットが現れ始めている可能性が有ります。
そういえば、私が小学生のころはインフルエンザの予防接種も学校で集団で行われていました。
いつの間にか、ワクチン接種の副作用がその根拠も曖昧なまま声高に叫ばれて、インフルエンザワクチンの集団接種も無くなってしまったのでしょう。
たしかに、選択の自由も大切なのですが、自己選択権のない子供にも影響があることですから、冷静な議論が必要だと思います。
ワクチン接種選択の自由めぐる攻防 集団免疫失われる危険も 米
http://www.afpbb.com/articles/-/3160910
少し前のニュースですが、サイバーダインの「HAL医療用下肢タイプ」が医療機器として米国で認可されたとのこと。
HALは外骨格型リハビリテーションロボットとしてもっとも有名だと思います。
まだまだリハビリテーションロボットは発展途上。商売としてもこれからみたいですが、ようやくサイバーダインは黒字化できそうとのこと。株価は好調なようですが、将来性の見込みだけでこれまでは来ていたのですね。
更にデバイスとしての使いやすさの向上。価格も使いやすさが出ることを期待しています。
いま、トヨタやホンダ、安川電機、パナソニックなどの大企業から中小企業まで様々な企業によるリハビリテーションロボットの開発の話題を聞きます。
患者さんの利益になり、医療現場でも使いやすくなり、さらに開発業者としても利益が出て長く続く事業になることを期待します。
好調な企業業績から内部留保を吐き出すためにとりあえず新規事業を立ち上げてみたけど、儲からないからやめようと将来的にならないようにお願いしたいです(使用する理学療法士なども新しい良いものは積極的に使う行動も必要になるでしょう)。
~
米国食品医薬品局(FDA)より「HAL医療用下肢タイプ」について医療機器としての市販承認を取得したと発表している。
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201712190213
気になったニュースです。
内容は、厳冬で寒暖の差が大きいときは血圧の変動が大きくなり、脳卒中や心筋梗塞の発症が大きくなるので気をつけましょうとのもっともな内容です。
面白いと思ったのが、データが何故かユニクロが調べた30歳台ということ。
どのような条件での調査か分からないのですが、30歳台で血圧17の変化とは思ったより大きいという印象でした。
ただしユニクロが調べているので、これは利益相反がある事案だと思いました。
日常動作が引き金 急激な温度変化で血圧上昇
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018013002000002.html