2016年4月5日火曜日

慢性脳卒中患者は健常者と比較してどの程度下肢の筋力が残存しているのか

慢性脳卒中患者では麻痺側下肢で健常者の50%、非麻痺側下肢で60%の筋力になっているとの内容です(過去文献で、急性期では麻痺側下肢で健常者の50%、非麻痺側下肢で80%の筋力)。運動麻痺の影響と生活範囲の狭小化が慢性期では筋力の低下につながっている。またとくに股関節伸筋、足背屈、股内転などに低下が著しかったとのことです。外来慢性脳卒中者は、年齢をマッチさせた対照群と比較して、両方の下肢の主要な筋群のほとんどで筋力のかなりの低下があるとの内容の論文内容です。


タイトル
慢性脳卒中患者は健常者と比較してどの程度下肢の筋力があるのか。

Arch Phys Med Rehabil. 2016 Apr;97(4):522-7. doi: 10.1016/j.apmr.2015.10.106. Epub 2015 Nov 23.
Lower Limb Strength Is Significantly Impaired in All Muscle Groups in Ambulatory People With Chronic Stroke: A Cross-Sectional Study.
Dorsch S, Ada L, Canning CG

Abstract
OBJECTIVE:
年齢をマッチさせた対照群と比較するために脳卒中者で、麻痺側と非麻痺側の下肢の主要な筋群の強さを測定した。

DESIGN:
Cross-sectional study. 横断研究

SETTING:
University laboratory.

PARTICIPANTS:
1-6年経過した外来脳卒中者(n=60; mean age, 69±11y)、年齢をマッチした健常者(n=35; mean age, 65±9y) (N=95)

INTERVENTIONS:
Not applicable.

MAIN OUTCOME MEASURES:
両方の下肢の12の筋肉群(股屈筋と伸筋、股内転と外転、股内旋と外外旋、膝屈筋と伸筋、足背屈と足底屈、足内反と外反)の最大等尺性筋力はハンドヘルドダイナモメーターを用いて測定。すべての測定は、1評価者によって標準化された位置で実施した。

RESULTS:
脳卒中者の麻痺側下肢は、すべての筋肉群の対照群(P<0.01)よりも有意に弱かった。(年齢、性別、体重について調整済みの)筋力は、対照群の48(range, 34%-62%)だった。 最も筋力が低下していた筋群は股関節伸筋(対照群の34%)、足背屈筋(35%)、股関節内転(38%)であった。また足内反(62%)、足底屈筋(57%)、および股屈筋(55%)も重度に低下していた。脳卒中者の非麻痺側下肢は、足首の内反(P=0.25)を除くすべての肉群で制御群のそれより有意に弱かった(P<0.05)。(年齢、性別、体重について調整)筋力は対照群のそれの66(range, 44%-91%)。最も深刻な影響を受けた筋群は、股関節伸筋(対照の44%)、足背屈筋(52%)、膝屈筋(54%)。

CONCLUSIONS:

外来慢性脳卒中者は、年齢をマッチさせた対照群と比較して、両方の下肢の主要な筋群のほとんどで筋力のかなりの低下がある