2015年10月5日月曜日

脳卒中片麻痺患者のトレッドミルトレーニングにおいての傾斜の効果について

トレッドミル歩行に傾斜の負荷を加えると、脳卒中片麻痺患者の歩行において速度と麻痺側ステップ長が群間比較で有意な改善があったのとの内容です。



Effects of Treadmill Inclination on Hemiparetic Gait: Controlled and Randomized Clinical Trial
脳卒中片麻痺患者の傾斜トレッドミルの影響:RCT

American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation
September 2015 Vol. 94 - Issue 9: p 718–727
2015 Impact Factor:           2.202

URL  : http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25357148

Abstract

OBJECTIVE:
本研究の目的は、片麻痺患者における歩行の運動学的特性への傾斜トレッドミルトレーニングの効果を分析することです。

DESIGN:
盲検、無作為比較試験。28名の被験者を2つの群に分けた。コントロール群は傾斜のない部分体重支持トレッドミル群。実験群は10%の傾斜での部分体重支持トレッドミル群。すべてのボランティアは、12のトレーニングセッションの前後の機能的自立、運動機能、バランス、歩行を評価した。

RESULTS:
両グループは、バランス(P <0.001)、運動機能(P <0.001)、および機能的自立(P = 0.002)で介入前後に有意な変化があった。コントロール群と実験群との比較では、速度(P = 0.02)と麻痺側ステップ長(P = 0.03)に優位な差が観察された。角度変数はいずれの群でも有意差を示さなかった。

CONCLUSIONS:
片麻痺患者では、部分体重支持トレッドミル歩行訓練の際に傾斜を加えることは効果を高めることができる。


※傾斜の参考
10%の傾斜=1/10の勾配の坂=5.71°
一般の階段に代わる傾斜路(高さ1m以上)=18以下(7.1°以下);建築基準法・施行令26
車いす使用者のスロープ(屋外)=115以下(3.8°以下);バリアフリー法の円滑化誘導基準・11条・6
車いす使用者のスロープ(屋内)=112以下(4.7°以下);バリアフリー法の円滑化誘導基準・6条・2



書籍紹介:ペリーの歩行分析
私は第1版の洋書を持っているのですが、第2版の邦訳も出ているのですね。