2015年4月13日月曜日

脳梗塞の再発で機能的な回復は遅延しない

日々の臨床において、再発性の脳卒中患者では、なんとなく機能回復が遅延する印象がありましたが、この研究では脳卒中の再発ということが短期間の機能的転機に悪影響を及ぼすと考えるべきではないと結論されています。漠然とした印象が必ずしも真でないと感じました。


Functional gain following rehabilitation of recurrent ischemic stroke in the elderly: experience of a post-acute care rehabilitation setting.
高齢者の再発性脳梗塞後の機能回復:亜急性期のリハビリテーション施設において

Arch Gerontol Geriatr. 2015 Jan-Feb;60(1):108-11. 
Archives of Gerontology and Geriatrics 2013 / 2014 Impact Factor 1.525
老年学と老年医学

Mizrahi EH, Fleissig Y, Arad M, Adunsky A.

アブストラクト
本研究の目的は再発性の脳梗塞患者のリハビリテーションは、機能回復に影響するかどうかを評価することである。私たちは、脳梗塞の発症後に連続してリハビリテーションにために入院した高齢患者919名について検討した。患者のうち22%が、再発脳卒中だった。初発脳卒中患者と再発脳梗塞患者の機能的転帰は、入院と退院時機能的自立測定スケール(FIM)により評価した。データは、t検定、カイ二乗検定、線形重回帰分析によって分析した。初発脳卒中患者は716名、再発脳卒中はと203名であった。入院時の合計FIMとモーターFIM、退院時の合計FIMとモーターFIM、FIMgain、Montebello Rehabilitation Factor (RFG) FIM scores は2群で同じ傾向であった。線形重回帰分析では、年齢(beta=-0.13, p=0.001) 、入院期間 (beta=0.21, p<0.001)、MMSE (beta=0.1, p=0.01)は高いFIMスコアを得るための独立した予測因子として検出された。今回の研究ではリハビリテーション病院に入院した再発脳梗塞患者は、退院時において初発脳卒中患者と同じようなFIM gainスコアを示すことを示唆している。亜急性期のリハビリテーション施設において、脳卒中の再発ということが短期間の機能的転機に悪影響を及ぼすと考えるべきではないと結論される。

URL , http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25239513




書籍紹介:脳からみたリハビリ治療
少し出版が古いのですが、専門家でない方にすすめるには良い本です。