2014年7月30日水曜日

入院脳卒中患者に対する理学療法場面での、理学療法士の選択する練習内容に影響を与える因子を調査したら、欧米の研究よりも歩行練習の割合が少なかったとのこと。

日本の理学療法士が入院脳卒中患者に対する理学療法場面において選択する練習内容は、アメリカやニュージーランドでの先行研究と比較して歩行などのmovement activitiesの割合が少なかったとのこと。


Are contents of physical therapy in nine Japanese hospitals for inpatients with stroke related to inpatients' and physical therapists' characteristics?
脳卒中による入院患者のための日本の9つの病院での理学療法の内容と、患者と理学療法士特性との関係

J Phys Ther Sci. 2013 May;25(5):641-7.
Shinohara T, Usuda S.

Abstract

[Purpose] この研究では脳卒中の理学療法の際にそこで提供されている活動に影響を与える因子を調査した。

[Subjects] データは理学療法士85人と脳卒中入院患者216人から得た。

[Methods] 脳卒中による入院患者に提供される特定の機能的活動で過ごされる時間を、9つのリハビリテーション施設で記録した。 これらを従属変数として用いた。理学療法士の特性としては、免許取得後年数、性別、脳卒中理学療法に影響を与える治療概念が記録された。入院患者の特性としては年齢、性別、麻痺側、脳卒中後の日数、Modified Rankin Scale(mRS)、とFunctional Independence Measure(FIM gait)が記録された。理学療法士、入院患者特性を独立変数として使用した。どの従属変数と独立変数が相関するのかを調べるためにt検定と相関係数、および共分散分析を用いた。

[Results] Pre-gait(歩行前の練習)とadvanced gait(応用歩行)、community mobility(地域での移動)が mRS and FIM gaitと相関していた (|rs| = 0.32-0.62)。他の機能的活動に費やした時間は入院患者特性と弱い相関関係を有していた。 機能的な活動に有した時間は理学療法士特性とは全く無いか、ほとんど相関関係がなかった。


[Conclusion] 特定の機能的な活動に費やされる時間と理学療法士特性の関係は、入院患者特性との関係よりも弱かった。脳卒中に対する理学療法にはさまざまな要素を含んでいる。