2014年7月22日火曜日

【読書メモ】はじめてのメタアナリシス

はじめてのメタアナリシス (臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト) 

野口善令 (著), 福原俊一 (監修)


◯第1章 メタアナリシスとは

メタアナリシスとは、統計学的手法を用いて同じテーマの複数の論文をひとつにまとめ、解析する研究。

EBMや臨床疫学への理解が深まる。

集めたデータをそのまま足し算すると、シンプソンのパラドックス(参考;http://goo.gl/yML0NJ )が生じることがあるため、各RCTを代表する効果量(リスク差、リスク比、オッズ比など)を算出してから重みづけ平均する。

重み付け平均の方法
・サンプルサイズの影響によるばらつきを公平に扱うために、サンプルサイズが大きい研究には重くウェイトをかけ、小さい研究には軽くウェイトをかける
・効果量の分散varianceの逆数をかけたものがよく使われる。

 
第2章 異質性とは

異質性=複数の臨床研究がある場合、中には結論が一致しないものが出てくることがあること(inconsistency)

異質性には、概念的異質性と統計学的異質性の2つがある。
・概念的異質性=研究を読み込むことでわかる。目に見える相違(対象集団の違い、研究デザインの違い
・統計学的異質性=研究結果のばらつきの相違

異質性の扱い
・統計学的にも概念的にも異質→メタアナリシスしない
 対処法・・・サブグループ解析、メタ回帰分析

 
第3章 メタアナリシスの手順

おおまかにPICOを決定→試験的に検索→論文を見てPICO修正→使えるoutcomeを探す→(以上繰り返す)→PICOの決定→統計的解析→異質性の検討、サブグループ分析


第4章 メタアナリシスのバイアス

メタアナリシスにおけるバイアスは、一次研究レベルでのバイアスと、メタアナリシスを行う過程で入り込んでくるバイアス(出版バイアス、選択バイアス)の2種類がある。


第5章 メタアナリシスの解釈と注意点

メタアナリシスの弱点、テーマの見つけ方


付録 統計の話


感想
メタアナリシスを読むための本です。ボリューム少なめで、統計学の知識が私のように乏しくても理解できるように構成されている親切な内容でした(付録ではp値の意味や95%信頼区間も丁寧に説明してあります)。職場で定期的に英文抄読会を行っているけれど、これまで以上にメタアナリシス、システィマティックレヴューが楽しめそうです。エビデンスを臨床に使う際にも役に立つ知識が得られると思います。さらにメタアナリシスについて理解を深めるためには、一歩進んで自分でメタアナリシスをやってみるつもりで取り組む必要があるのでしょう(この本はあくまで「読む」ための知識が得られる本だと思います)。



はじめてのメタアナリシス (臨床家のための臨床研究デザイン塾テキスト)

野口善令 (著), 福原俊一 (監修)

2012年3月第2版第1刷