昨日紹介した日本の理学療法士の脳卒中に対する、理学療法の内容についての文献(前回記事)の米国版です。ただし、10年前の少し古いものです。理学療法の時間のうち31.3%が歩行練習に費やされていたとのことです。前回報告した文献での日本の理学療法場面での歩行練習に占める割合は18.9%ですから、比較するとかなり多い印象があります。
リハビリテーション入院施設における脳卒中患者のための理学療法士の介入について
Physical Therapy Interventions for Patients
With Stroke in Inpatient Rehabilitation Facilities
Diane U Jette, Nancy K Latham, Randall J
Smout, Julie Gassaway, Mary D Slavin and Susan D Horn
Phys Ther. 2005 Mar;85(3):238-48.
Abstract
Background and Purpose.
The purpose of this study was to describe
physical therapy provided to patients with stroke in inpatient rehabilitation
facilities.
この研究の目的は、入院患者用のリハビリテーション施設で脳卒中患者に提供される理学療法の内容を分析することでした。
Subjects and Methods.
米国における6つのリハビリ施設での理学療法サービスを受けている972人の脳卒中患者からデータを得た。記述統計は、理学療法における特定の機能的な活動の治療時間の割合と、その活動が59の介入のうちどれを含んだものだったかを表現するために記述統計を用いた。
Results.
患者の平均入院日数は18.7日(SD=10.3)、理学療法は平均して13.6日(SD=7.8)受けた。 患者は平均して1.5回(SD=0.3)の理学療法セッションを受けて、それぞれのセッションは38.1 分 (SD=17.1)だった。歩行と準備活動(Gait and prefunctional activities)がもっとも頻繁に行われた(それぞれ総治療時間の31.3%と19.7%)。歩行活動のために理学療法士はセッションの50%以上でバランスと姿勢意識向上トレーニングを行っていた。そして準備活動の50%以上は筋力トレーニングを行っていた。86%の患者は評価を受けて、84%の患者は教育を受けた。
Discussion and Conclusion.
セラピストは特定の介入技術よりも、さまざまな要素を含んだアプローチを選択していた。患者ケアへのアプローチには障害を修正し、機能制限を補うための介入が含まれていた。sセラピストはすべての活動を促進するために運動制御や運動学習のアプローチを用いていているとしばしば報告した。ケアへのこのアプローチは既存の脳卒中ケアガイドラインと、運動制御と運動学習の科学的進歩と概ね一致している。