2012年8月4日土曜日

歩行速度は、高血圧が有害な転帰をもたらすリスクが高い高齢者を同定するためのシンプルな指標

日経メディカルオンラインに興味ある記事がありました。

歩行が遅い高齢者では高血圧があっても死亡率上昇せずとのことです。

歩行速度が速い高齢者で、高血圧が死亡リスク上昇するのは予測できます。
6メートル歩行が完了できないような虚弱な高齢者においては、高血圧が反対に死亡リスク低下に関係しているとのことはとても興味深いです。なぜなんでしょうかね。



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2012. 7. 30
Arch Intern Med誌から
歩行が遅い高齢者では高血圧があっても死亡率上昇せず




歩行速度が速い高齢者では高血圧は死亡リスク上昇をもたらすが、歩行速度が遅い高齢者では死亡リスクの上昇は見られず、歩行を完了できないような虚弱な高齢者においては、高血圧が反対に死亡リスク低下に関係していることが明らかになった




高齢者においては、血圧上昇の健康への影響を考える際に重要なのは、年齢ではなく虚弱の程度ではないかと考えた。歩行速度は、健康状態の指標として、また、死亡その他の有害な転帰の予測因子として優れていることが近年示されている。そこで著者らは、高血圧の有害な影響がより大きい高齢者を同定するために、歩行速度の測定が役立つのではないかと考えた。さらに、血圧上昇は、歩行速度が速い、すなわち虚弱度が低い高齢者の死亡リスクに関係しているのではないかと仮定した。




今回の研究で、歩行速度が速いと収縮期血圧高値は死亡リスク上昇に関係するが、歩行速度が遅い高齢者では、血圧と死亡リスクの間の関係は弱まることが明らかになった。歩行を完了できなかった虚弱な高齢者では、反対に、収縮期血圧高値と拡張期血圧高値は死亡リスクの有意な低下と関係していた。歩行速度は、高血圧が有害な転帰をもたらすリスクが高い高齢者を同定するためのシンプルな指標であることが示された。



引用 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201207/526075.html


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