2012年8月3日金曜日

脳卒中の回復における運動イメージを伴うメンタルプラクティス:有効性のランダム化比較


脳卒中患者のリハビリテーションの際に、運動イメージのメンタルプラクティスを課したときの治療効果をrandomized controlled trialで検討した論文の紹介です。

結果としては、この研究では、運動イメージをともなう メンタルプラクティス が早期の脳卒中後遺症患者にとっては運動回復を強化していないと示唆しているとのことです。


全文URL
http://brain.oxfordjournals.org/content/134/5/1373.long


脳卒中の回復における運動イメージを伴うメンタルプラクティス:有効性のランダム化比較
Mental practice with motor imagery in stroke recovery: randomized controlled trial of efficacy
Brain (2011) 134 (5): 1373-1386.



このランダム化比較試験では、永続的な上肢の運動麻痺を有する脳卒中患者における、運動イメージをともなうメンタルプラクティスの治療効果を評価した。運動のメンタルリハーサルは、通常、実際の動きの練習に起因する効果を生み出すことができることを示唆するエビデンスがある。手の動きをイメージすることは、手の機能回復に伴う、脳活動の回復と、再配置を刺激し、その結果、運動障害は軽減する。脳卒中の運動イメージをともなうメンタルプラクティスの有効性は方法論的に限界で、現在のところエビデンスが不十分である。この無作為化比較の継時的なコホート研究は、脳卒中後6ヶ月以内に上肢機能障害を有する121脳卒中患者(平均で<脳卒中発症後3か月内)が含まれている。ランダム化は、自動化された統計的な最小限の手順を用いて行った。主要アウトカムメジャーは、Action Research Arm testで盲検評価だった。研究では、週3回の指導員がいる環境下での45分のセッションと、週2回の構造化された独立したセッションを受けた39名の患者のアウトカムと、同じように集中的な非運動メンタルリハーサルを行った31例と、追加のトレーニングをすることなく通常の治療を受けている患者32例と比較した。治療群間にAction Research Arm testにおけるベースライン、アウトカム、または二次アウトカム指標のいずれにも差は見られなかった(分散分析ANCOVA statistical P&#8201;=&#8201;0.77, and 効果量偏相関比effect size partial η2&#8201;=&#8201;0.005)。今回の結果は、運動イメージをともなう メンタルプラクティス が脳卒中後遺症早期の患者には運動回復を強化していないと示唆しています。エビデンスに照らして、それは運動イメージを伴うメンタルプラクティスは、それ自身で有効なリハビリテーションの技術であるかどうかはまだ分からない。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3097892/table/T1/


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3097892/table/T2/



http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3097892/figure/F1/








Brain Hemispheres
                                                                                                                                                               Photo By topgold