2012年8月14日火曜日

パーキンソン病患者の運動行動に関連する要因

パーキンソン病患者の運動行動に関する論文の紹介です。

結論としてはパーキンソン患者では、機能障害よりも自己効力感が定期的に運動するかどうかに関連しているとのこと。パーキンソン患者に対する介入プログラムを設計する際には自己効力感を増やすための戦略を含めるべき。

Physical Therapy vol. 91no. 12 1838-1848

パーキンソン病患者の運動行動に関連する要因

Factors Associated With Exercise Behavior in People With Parkinson Disease
Terry Ellis, James T. Cavanaugh, Gammon M. Earhart, Matthew P. Ford, K. Bo Foreman, Lisa Fredman, Jennifer K. Boudreau and Leland E. Dibble

http://ptjournal.apta.org/content/91/12/1838.abstract  全文URL

Abstract

Background

 パーキンソン病(PD)患者の障害を軽減する目的での運動の利点がより明らかになっている。しかし、最適な利益は、定期的で持続的な参加を必要とする。PD患者が、定期的な運動に従事することに関連付けられる要因は科学的な精査を少し受けている。

Objective
本研究の目的は、ガイドフレームワークとして国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health ;ICF) を用いて、PD患者の運動行動に関連する要因を探ることであった。

Design 
横断的研究

Methods
 本研究では、参加者は4つの施設からのPD患者260例を対象とした。参加者は(Stages of Readiness to Exercise Questionnaire)へ反応に基づいて 「exercisers 」や 「nonexercisers」として指定した。運動の状態は、(Physical Activity Scale for the Elderly and an activity monitor)を使用して検証した。潜在的に運動行動に関連付けられている要因は、身体​​構造や心身機能、活動、参加、環境因子、および個人的因子の程度が含まれている。それらの相対的な貢献は、ロジスティック回帰分析を用いて分析し、オッズ比で定量化した。

Results
 164の参加者(63%)を exercisers とした。自己効力感が高い参加者は(調整オッズ比= 2.34、95%信頼区間= 1.30から4.23)自己効力感が低い参加者と比べて定期的な運動に従事する割合が2倍以上高かった。大学教育を受け、高齢の参加者も運動するする可能性が高かった。障害、活動制限、参加制限の影響を無効化することは運動行動に関連しなかった。

Limitations
 研究の横断的な性質は、因果関係の推論をする能力を制限しました。

Conclusions
 機能障害ではなく、むしろ自己効力感が、PD患者の 歩行可能な、 地域社会に住む人々が定期的に運動するかどうかに関連しているようである。この研究の結果は、理学療法士は、PD患者に対する患者の介入プログラムを設計する際に、運動の自己効力感を増やすための戦略を含めるべきであることを示唆している。





※追記:自己効力感は運動自己効力感スケール(Exercise Self-efficacy Scale;ESS)を評価として使っているようです。質問では、運動を行うことの妨げとなりうる障壁を提示し、障壁を乗り越える自信の度合いを回答してもらう形となっている。例えば(1)疲れている、(2)天候が悪い、(3)家族や友人の助けがない、(4)他にやることがある、などといった項目に回答してもらう。回答結果は、各項目100点満点で、高スコアほど自己効力感が高いことを示す。なお、ESSの総スコアは、各項目の平均値として算出されるようです
引用;運動自己効力感スケール、2型糖尿病患者の運動に対する意欲の評価に有用
日経メディカルオンライン




Parkinson's Disease Cure
Photo By ekea7