2012年8月2日木曜日

理学療法士の感染予防(手指消毒について)


「一患者一手洗い」は理学療法現場においてもかなり浸透してきていると思います。


雑誌INFECTION CONTROLによれば
手指衛生を効果的に行うために押さえておきたいポイントは


〇タイミング
手指衛生は、患者ケア開始の直前と患者ケア終了の直後に行います。

〇チョイス
患者ケアには、アルコール手指消毒を優先します。アルコール消毒が期待できない微生物が予測されるときは流水下でハンドソープを用いて手洗いします。

〇テクニック
擦式手指消毒と流水下での手洗いの手技



患者ケアには、アルコール手指消毒を優先します。


意外に思われる方もおられるかもしれませんが、 
擦式消毒用アルコール製剤の(石けんを用いた手洗いに対する)優位性があります。

•除菌効果大きい
•手技が簡便
•手荒れが少ない














ただし、擦式消毒用アルコール製剤をつかった手指消毒では、手指に付着したタンパク質などは洗い落とすことはできないので、数回に1回は石けんを用いた手洗いも実施します。



しかし、アルコール消毒ではダメなケースもあります。

アルコール消毒が期待できない微生物が予測されるときは流水下でハンドソープを用いて手洗いします。


とくに下痢患者です。


下痢患者の排便処理や嘔吐の処理後に流水と石けんでの手洗いが必要。
→ノロウイルスや芽胞を形成する微生物(クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症)の場合、アルコールに対する強い抵抗性があったり、無効であったりするため。下痢患者の排便処置や嘔吐の処置後は、つねに流水と石けんによる手洗いが必要。


トイレ介助においては、排泄物に接触する可能性があると考えて、基本的に前後の手洗いと手袋着用を必ず行います。


排泄の処置の必要がなかった場合でも、排泄物に触れているかもしれません。

→一生懸命にトイレットペーパーでお尻を拭いた手で衣服を整えている。流水ボタンに触っている。



*参考
医療施設における手指衛生のためのガイドライン【米国疾病予防管理センター(CDC)】
Guideline for hand hygiene in health-care settings.2002

・患者またはその周辺器具・環境に触れるすべての行為の前後に手洗いもしくは手指消毒を行う。
・目に見える汚染がなければ擦式消毒用アルコール製剤による手指消毒を行う
・目に見える汚染があるときは流水と石けんを用いた手洗いを行う。
・手荒れ予防が重要である。



引用文献 
Infect. Control. Hosp. Epidemiol. 21. 2000. 442-8
INFECTION CONTROL 2009年春季増刊
INFECTION CONTROL 2012年春季増刊

Hand Wash Basin With an Ocean View
Photo By Andreas.