2012年7月26日木曜日

システマティックレビューを読むための基礎知識

システマティックレビューを読むための基礎知識。私の備忘録です。
(旧ブログから一部修正、加筆後、再転載の記事です)



(引用) 森山英樹、理学療法効果を検証するためのシステマティックレビューの作成方法と実践
理学療法学 第37巻8号 pp585-588 2010


(参考1) 
ライフサイエンス出版 コクラン研究とは何か? 2.システマティックレビュー
http://www.lifescience.co.jp/yk/jpt_online/cochrane/index_cochrane2.html


(参考2) 
Circulation Forum  OPINION 「EBMにおけるエビデンスの吟味」 東京大学大学院薬学系研究科・医薬経済学 津田喜一郎
http://www.lifescience.jp/ebm/opinion/200308/




システマティックレビュー
臨床的な疑問に関して、数多くの研究を網羅的に再現性のある方法に従って集め、その時点における結果のまとめを行ったものである。
意義としては最新の専門情報や介入法選択のための基礎資料の提供。


*メタアナリシスとは?

集められた複数の研究の結果を統合するために実施する統計学的手法



*システマティックレビューの作成方法は?

1、研究選択の適格基準の設定

1)論文を検索するためのキーワードを決定。(臨床現場における疑問など
2)論文の適格基準を設定。(RCTだけにするか、比較臨床試験も含めるか
3)言語、サンプル数、観察期間など


2、論文の収集と選択は

1)疑問から導き出されたキーワードを用いてデータベースを検索するPubMedやEMBASE、CENTRAL、PEDro、CINAHL、医中誌など
2)データベースに収載されている要約から、適格基準に合致しないもの、重複するものを除く
3)1)を補完するために、ハンドサーチによりデータベースに含まれていない論文や未発表のデータを探す
4)収集した論文のうち、全文から適格基準に合致しないものを除外する。


3、論文の質的評価とデータ収集は

1)質的評価
明確な基準を持って、収集・選択した論文を評価する必要がある。この評価は一般的に、論文の質的評価のために考案された評価法を用いて行う。
例:PEDスケール(Delphiリストにフォローアップの妥当性と統計的群間比較比較の項目を追加したもの)、Jadadスコア(以前コクランライブラリーで用いられていた)


2)データ収集
収集・選択した論文の内容を要約したアブストラクトテーブルあるいはデータフォームと言われる一覧表を作成。
*論文の研究者名と出典、論文の研究デザイン(方法、対象患者、介入、アウトカムの測定と結果)、論文の結論、質的評価の点数。
*アウトカムについては一覧表に収載されない場合もあるが、メタアナリシスを行うために結果の数値データが必要


4.メタアナリシス

最初に行うことは、元となる論文間で、研究デザインが類似しているもののなかから、共通する数値データを抽出すること。そのあと、抽出したデータをもとにメタアナリシスを行う。
メタアナリシスは、異質性の検定、データの統合、統合データの検討からなる。メタアナリシスは専用ソフトウェアを用いることで、比較的簡単に行うことができる。ソフトウェアには市販されているもの、無償で使用できるもの、一般的な統計ソフトウェアでメタアナリシスの機能を備えているものと複数ある。
統合されたデータは、フォレストプロット、あるいは串刺し図といわれるメタアナリシスに特有のグラフで示される水平線のついたボックスは、各論文の結果を示す。線の長さが短いほど、その結果が確実であることを意味する。菱形は、それらの全論文を総合した結果をしめす。中央の垂線は、比較する2群が同等の効果をもつ場合の位置を示しており、水平線が垂直線と交わる場合は、介入群と対照群との間に差が無いことをしめす
*異質性、統合データの検定結果、筆頭著者名と出版年、介入群と対照群それぞらの平均値(Mean)、標準偏差、対象数、さらに各研究の重みづけ(Weight)があり、点推定値と95%信頼区間などが実数ならびに箱ひげ図で示されている。

PhD Thesis Being Drafted
Photo By Jimee, Jackie, Tom & Asha