新しく作られた評価指標である、常時車いす使用者の移乗動作の質の評価のための移乗評価法の開発と信頼性と妥当性の評価に関する論文の紹介です。
結論としては筆者らが新しく開発した移乗評価法は安全で時間のかからない。また参加者にこの評価のための新たな技術を要求しない。信頼性と妥当性の検定において許容範囲にあるまずまずの検者間信頼性と、広い範囲の検者内信頼性があった。とのことでした。移乗動作は標準化された評価法をあまり見たことがないので、このような研究も意義あることだと感じました。
全文
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation Volume 92, Issue 3 , Pages 499-508, March 2011
Reliability and Validity Analysis of the Transfer Assessment Instrument
移乗動作評価法の信頼性と妥当性の検討
McClure LA, Boninger ML, Ozawa H, Koontz A.
目的 新しく作った評価指標である、常時車いす使用者の移乗動作の質の評価のための移乗評価法Transfer Assessment Instrument (TAI),の開発と信頼性と妥当性の評価
デザイン 計測の繰り返し
セッティング ワシントン州スポーケンにおける全国ベテランズ車いすゲーム大会2009
参加 座位や立位での旋回動作で移乗する常時車いす使用者40名
介入 特になし
主な効果指標 信頼性のための級内相関と、TAIと全体的評点global assessment scale (0–100 visual analog scale [VAS])との間での同時妥当性のためにスピアマン相関係数を使った。
結果 検定において不具合な事象は生じなかった。3人の評価者の検者内信頼性は .35と.89の間。そして検者間信頼性は.642。TAIとglobal assessment VASの相関は .19 (P=.285) and .69 (P>.000).の間。このツールの項目分析では弱い信頼性から強い信頼性まで広い範囲の結果があった。評価者は安全かつ短時間でTAIを完了することができると評した。
結論 TAIは臨床現場にある典型的な機器を使用する安全で時間のかからない評価指標である。参加者にこの評価のための新たな技術を要求しない。信頼性と妥当性の検定においてまずまずの検者間信頼性と、強い検者内信頼性があった。今後は更に低い信頼性にあった項目の削除、または変更を含む継続的な改良の必要性、臨床家のための改良した教育、さらに多様な対象への信頼性と妥当性の分析の必要がある。TAIは評価法においてあまり他にない移乗動作の評価を埋める可能性がある。